2013年12月31日火曜日

第4講 軌跡(4)

佐藤の数学教科書「図形と方程式」編の勉強

【問1】直線y=mxと円(x-2)+y=3が2点PとQで交差する場合において、mの変化範囲が、交差点のP、Qが存在し、かつ、その2点が重ならない場合における、線分PQの中点Rの軌跡を求めよ。

 この問題を解く方針としては、Xのみをパラメータaであらわす式と、Yのみをパラメータaであらわす式を求めて、それからXとYの関係式を考える方が確実な解き方と考える。
 大学の入学試験でも、そのようなやり方で問題を解く学生を合格させたいと考えるのではないかと思います。
 そのため、以下では、その方針で問題を解きます。

計算する上で記号を間違えないために、P点の座標をP(a,b)とし、Q点の座標をQ(c,d)とあらわして計算する。
PQの中点R(X,Y)は以下の式であらわされる。
X=(a+c)/2 (式1)
Y=(b+d)/2 (式2)
交点PとQは以下の式で求められる。
y=mx (式3)
(x-2)+y=3 (式4)
式3を式4に代入してyを消去してxをmであらわす。
(x-2)+(mx)=3
(m+1)x-4x+1=0 (式5)
この式5は点Pのx座標aと点Qのx座標cに関しては以下の式であると考えられる。
(m+1)(x-a)(x-c)=0 (式6)
式5と式6が同一式であるので、以下の関係がなりたつ。
-4x=-(m+1)(a+c)x
この式を変形する。
(a+c)=4/(m+1) (式7)
この式7を式1に代入して以下の式を得る。
X=(a+c)/2=2/(m+1) (式8)
式3のx=aであるときy=b、x=cであるときy=dである関係を使って式2を変形する。
Y=(b+d)/2=m(a+b)/2
この式に式7を代入して以下の式を得る。
Y=m(a+c)/2=2m/(m+1) (式9)

式8と式9でXとYがmであらわせた。
このような式のグループからmを消去する場合の計算技術としては、
(1)先ず、式8と式9が同じ形の分母を持っていることに注目する。
(2)次に、式8の分子と式9の分子を足し算して式8及び9の分母ができるか、あるいは分子からパラメータmが消えないかを考える。
(式8の分子にはパラメータmが無いので、既に、この条件を満たす式8が得られている。この式8は後で用いる。)
(3)単純な足し算では、式8及び9の分母が出来ない場合は、、式8の分子の二乗と式9の分子の二乗を足し算して式8及び9の分母ができるかを考える。
 この式8の分子の二乗と式9の分子の二乗を足し算して式8及び9の分母ができることがわかります。
そのため、式8の二乗と式9の二乗を足し算します。
+Y={1+m}(2/(m+1))
+Y=2/(m+1) (式10)
式10と式8は、分母が同じで、その分子にはパラメータmが入っていないことに注目する。そのため、式10と式8に係数を掛け算して足し合わせることで、右辺の複雑な分数の式を消去できるので、以下でそうする。
-2・(式8)+(式10)を計算する。
-2X+X+Y=0
(x-1)+Y=1 (式11)
ここで、この円と直線は、下の図のようになる。

式5でmの範囲が負のある値から正のある値までの範囲内にあれば、直線y=mxと円とが交差する。その境界の値では両者が接して点PとQが重なってしまう。
そのため、異なるP点とQ点で直線と円とが交差するためには、直線が円に接する場合は除外しなければならない。

しかし、式8と式9では、直線y=mxが円に接しない場合でも存在しないP点とQ点の中点のRの座標が計算されてしまっている。
(これは、存在しない交点のP点とQ点の座標が複素数で与えられ、その中点のRが実在の点として存在していることをあらわしているが、そういう概念は高校数学の範囲を大きく超えるので、この問題を解くには、それは考えないことにする。)

P点とQ点が重なる場合、すなわち、直線y=mxと円とが接する場合のmの値を式5から計算する。
(以下の計算は「判別式」を急きょ導出する計算です:判別式を思い出しても、その記憶の確かさを確認するのが面倒と思っている人専用の解き方です)
そのmの値は、式5が重根を持つ、以下の式12に等しくなる場合のmの値である。
(m+1)(x-a)=0 (式12)
この式12を式5と比べる。
2(m+1)a=4 (式13)
(m+1)a=1 (式14)
(式13)を式14に代入してaを消去する。
(m+1)(2/(m+1))=1
4=(m+1)
3=m
m=±√3 (式15)
この式15を式8に代入する。
X=2/((±√3)+1)=2/4=1/2
式15を式9に代入する。
Y=2(±√3)/((±√3)+1)=(±√3)/2
よって、R(X,Y)の描く軌跡は、mが-√3近くから+√3近くまで変わるときに、
(1/2)<X≦2
の範囲の上図の円(式11)の範囲を、
(1/2,-√3)の近くから(2,0)を経由して(1/2,√3)の近くまで移動する。
このことは上の図を書くことにより、明確にわかる。

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