【問題1】の一部:下図の長さxを求める。
【解答】
二辺挟角がわかっている三角形の残りの辺の長さは、余弦定理から求められます。
上図で、長さxは、余弦定理から求められます。
です。
(解答おわり)
余弦定理は、上図のように三平方の定理を使って三角形の残りの辺の長さを求める式を導いた答えの式です。
余弦定理を確実におぼえにくい人は、
上図の式ですばやく余弦定理が計算できます。
これより速く余弦定理を導き出して思い出す方法は、三角形の辺の二乗の引き算の公式を変形して余弦定理を導き出して思い出しましょう。
(これが余弦定理)
この余弦定理の導き出し方の方が、もっと速やかに余弦定理を導き出して思い出せるので、この方法で余弦定理を導き出して思い出すように練習してください。そうすれば、余弦定理が確実に身につくと思います。
【別解(その1)】
三角形の辺の二乗の引き算の公式を使って、以下の様にして問題を解くことができます。
(解答おわり)
【別解(その2)】
ベクトルの内積を余弦定理より先に学んで、ベクトルの内積で余弦定理を導き出した学生は、この問題も、以下の様に、余弦定理を使わずベクトルの内積により答えを計算できます。
(解答おわり)
リンク:
高校数学の目次
【問題】
上の三角形ABCにおいて、次の等式を証明しなさい。
【解答】
(証明おわり)
(補足)
この問題は、以下の、三角形の2辺の二乗の差の公式に係る問題です。
【三角形の辺の二乗の引き算の公式】
(以上が、三角形の辺の二乗の引き算の公式)
この三角形の辺の二乗の引き算の公式は、かなり多くの問題を解くのに役立つ万能の公式です。種々の問題を解く際に、この公式を使うよう試してみてください。
(第2の解答の方針)
この等式の証明には、この等式の左辺から右辺を引き算した式を考えます。
この左辺が0になることが計算できれば、問題の等式が証明できます。
そのため、左辺をどんどん計算して、0になるまで続けるのが証明のコツです。
以下では、この問題の解答用紙には書かない、計算用紙に書く計算(自分が納得して計算する)の細部を書きます。
(計算にはリズムがあります。計算用紙に書く自分の計算では、計算のリズムを乱す難しい式の変換はしないで、少しづつ式を変形するのが計算のコツです。)
(解答:証明開始)
ここでcos(B)を(第2)余弦定理で変換します。
《cosBに着目して置き換える事が重要。(ca・cosB)のまとめ置きかえは変換の自由度が低いので覚える価値低》
ここでcos(A)を(第2)余弦定理で変換します。
《以下の計算は、以下の2行は暗算により省略可能》
《以下の2~3行は暗算により省略することも可能》
(証明おわり)
以上の計算で、式を変形するとき、カッコをたくさん使って計算するのがコツです。カッコをつけ忘れないよう注意して計算してください。
【別解】
以上とは異なる発想で、この等式を以下のようにして解くこともできます。
この式から、変数cを減らします。それは、以下の、第1余弦定理を利用します。
頂点Cから辺cに垂直に下ろした線で辺cを分割した各線分の長さは、
a・cos(B)とb・cos(A)です。
そのため、以下の式がなりたちます(第1余弦定理)。
c=a・cos(B)+b・cos(A)
この式を先の式に代入して変数cを減らします。
この式を変形します。
-(a・sin(B))2+(b・sin(A))2=0,
ここで、a・sin(B)も、b・sin(A)も、ともに、
頂点Cから辺cに垂直に下ろした線の長さをあらわしますので、両者は等しいです(正弦定理)。
a・sin(B)=b・sin(A),
そのため、
-(a・sin(B))2+(b・sin(A))2=0,
がなりたります。
(証明おわり)
【更に別解】
を証明する。
この式の左辺をabcで割り算した式をFとする。
以下の2つの余弦定理を代入する。
これをFに代入すると、
(証明おわり)
リンク:
三角形の辺と角の等式をベクトルで証明
sinθとcosθの連立方程式で式からθを除去する方法
高校数学の目次
「(佐藤の)数学教科書[三角比・平面図形編]」(東進ブックス)の学習
第2余弦定理の公式(一番やさしい覚え方も有り)を確実におぼえられない人のために、素早く余弦定理を導き出す計算方法を考えてみました。
この式は「拡張三平方の定理」として覚えて欲しい。
上の計算のポイントは、
上の図のような三角形を考えて、
三角形の左右の斜辺の二乗どうしの引き算をすると、
点Dで分割された底辺の長さの二乗どうしの引き算になります(三角形の辺の二乗の引き算の公式)。
この式のxを余弦c*cosθであらわすと(第2)余弦定理になります。
b2=c2+a2-2c・a・cosB
この計算過程をおぼえておけば、すぐ余弦定理を導くことができる(余弦定理が確実に出てくる)ようになります。
(辺の二乗の引き算の公式を利用する)
上の式の途中の式を、辺の二乗の引き算の公式として覚えて、以下の図と式を書いて余弦定理を速やかに導き出したら良いと考えます。
(以上が、余弦定理)
【三角形の辺の二乗の引き算の公式】
(以上が、辺の二乗の引き算の公式)
この公式の証明は、∠Cが90度より小さくても、大きくても、同じ上の式で証明でき、∠Cによる場合分けは不要です。
(三角形の辺の二乗の引き算の公式は覚え易い)
三角形の辺の二乗の引き算の公式は、以下の図の正方形①②③を心が思い描いて心が公式を導き出すので、覚え易い(導き出し易い)です。
公式の導き出し方を覚えるには、公式を導く過程で使われているこの様に隠れている公式を発見して、その隠れた公式を覚えると良いです。隠れた公式を発見して覚えて使うことで、公式の導き出し方を覚え易くするのです。
【1番やさしい覚え方?】
(以上が余弦定理)
この導き出し方よりも、三角形の辺の二乗の引き算の公式を覚えて使う余弦定理の導き出し方の方が、直角三角形も顕わには意識しない単純な導き出し方なので、余弦定理の一番覚え易い導き出し方かもしれません。
また、三角形の辺の二乗の引き算の公式を覚えて使うと余弦定理が楽に導けるので、余弦定理を使って解くべき問題は、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使えば解けるのではないかと考えられます。
実際、余弦定理を使って解いている問題は、ことごとく、三角形の辺の二乗に引き算の公式を使って解けます。三角形の辺の二乗の引き算の公式には、三角形の2辺の1辺への射影の長さの関係を表わす、射影の基本的特徴を利用できるようにする特徴があります。その特徴が、余弦定理と共通する、射影を利用して問題を解き易くする特徴だと考えています。(射影を利用するこの特徴は、ベクトルの内積の計算とも共通した特徴です。)
むしろ、三角形の辺の二乗の引き算の公式の方が余弦定理よりも、問題を解くために使い易い公式だと思う。
そのため、三角形の辺の二乗の引き算の公式を覚えていれば、余弦定理を覚えていなくても、問題を解くのに支障がありません。そういう意味で、三角形の辺の二乗の引き算の公式を覚えていれば、余弦定理を覚え無いでも良い事がわかりました。
そもそも、三角形の辺の二乗の引き算の公式と、余弦定理の式は、以下の式の1つの変形だけで結び付いている等価な式です。両者は、式を変形して形を変えただけの同じ式だと言って良いと思います。
(結論)
余弦定理も、余弦定理を使って導き出すその他の定理も、等しく、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使って導き出すようにしましょう。
(数学の公式の覚え方の注意)
中学生のときは数学ができたのに、高校生になると公式が覚えられず(覚えても時が経つと忘れて)数学ができなくなったと感じて数学をあきらめて脱落する学生が多いようです。そうなるのは、中学生のときから数学の公式の間違った覚え方を身につけ、それが現実の数学の公式群を覚えるのに通用しなくなるからだと考えます。
余弦定理をごろ合わせで覚えるのは公式の間違った覚え方です。上で説明した様に、毎回、式を展開して、余弦定理を導き出して使うのが、正しい、余弦定理の覚え方です。
式を展開するだけでは、何も覚えていない様に見えますが、実はそうでは無く、式を展開する毎に、その正しい式の展開の手順を無意識に覚えているのです。そういうふうに公式を覚えるのが、 高校生になった後でも数学の学習から脱落しない公式の正しい覚え方だと思います。
リンク:
この定理を覚えると(それに似ている)余弦定理を忘れます。
ベクトルによる三角形の余弦定理のやさしい覚え方
第2余弦定理の公式(一番やさしい覚え方も有り)
余弦定理の2番目にやさしい覚え方
拡張三平方の定理
裏正弦定理
正弦定理
三角形の辺と角の等式の証明
余弦定理を使って二辺侠角から残りの辺を求める
余弦定理を使って三角形の2角と1辺から、残りの辺を求める
余弦定理
正弦定理の応用(三角形の面積)
sinθとcosθの連立方程式で式からθを除去する方法
(高校)tanθを使った三平方の定理
高校数学(三角比・図形)一覧
高校数学の目次
中学生の時は数学ができたのに、高校生になって、正弦定理や余弦定理が覚えられない(時が経つと忘れてしまう)ので数学の勉強で挫折する学生が多いらしい。
「覚えられない(忘れてしまう)」で挫折するのは、数学を、公式を覚える学問だと認識していたから、急に数学が出来なくなったものと誤解するからだと思います。しかし、それは間違った認識だと思います。数学は公式を覚える学問では無く、公式を導き出す学問だと思います。
中学生のときから、数学の公式は覚えられない(時が経つと忘れる)ものだと知っていた学生は、公式が覚えられない(忘れる)のは当たり前の事だと認識しています。そして、公式を覚えるというより、公式を導き出して使う練習をして来ていたと思います。
そのため、高校生になって初めて「公式が覚えられない」という真実に気付いた学生は、挫折するのでは無く、公式を導き出すことを覚えて欲しいと思います。
下図のように三角形の周りに、その外接円とその円の中心(外心)とを描きます。
上の図で、三角形の頂点の角度∠A=θが外接円の円周角であり、それは中心角∠BOCの2分の1であることに注目すると、
三角形の外接円の半径Rと、三角形の頂点の角度∠A=θとその頂点Aへの対辺の長さaとの間に、以下の関係式が成り立つことがわかります。
すなわち、∠A=θの対辺の長さをaとすると、
この式を変形すると、
です。